グーグルトレンドで紐解く3Dプリンターの歴史

【グーグルトレンドで紐解く3Dプリンターの歴史】

グーグルトレンドに紐づく3Dプリンターの歴史
上記は、グーグルの無料ツール「グーグルトレンド」にキーワードとして「3Dプリンター」を入力して、調査した結果です。

グーグルトレンドは、特定の期間中にもっともグーグル検索で検索された回数の多い期間を100%として、それ以外の期間に検索された回数も%で示すことができます。上記の例ですと、期間は、①2004/01/01~2020/03/13ということになります。期間はユーザー側で自由に設定できるのですが、遡れる期間のMAXは決まっているようで、今回は2004/01/01でした。

④2014年5月が一番検索回数が多く100%、②2012年11月が11%、③2013年5月が55%、⑤2015年1月が82%となっています。その後は、25%に達しない状況で今日まで推移しています。
こちらの結果と、下記の3Dプリンターの歴史を照合してみました!

【3Dプリンターの歴史】
3Dプリンターの歴史
1980 名古屋市工業研究所の小玉秀男さんにより初の3Dプリンターが開発されました。
特許は小玉氏が審査請求を忘れたままに留学しており、その間に出願審査請求の期限である7年が過ぎたため失効しました。
1986 チャックハル(アメリカ)が光造形の特許を取得し、3D Systemsを創業しました。
1987 3D Systemsが初めて3Dプリンターを製品化しました。この3Dプリンターには光造形法が採用されています。
1989 StratasysがFDM(Fused Deposition Modeling:溶解堆積成形)に関連する特許を取得しました。
2006 英国の研究者が中心となって、オープンソースの3Dプリンター開発プロジェクト「RepRap」を立ち上げました。
2009 3D Systemsの光造形の特許の権利期間が満了しました。
2009 Makerbot社が創業し、オープンソースの3Dプリンターを発売しました。
2012 「National Additive Manufacturing Innovation Institute(NAMII)」(米国オハイオ州)が設立されたことで、3Dプリンターが有名になりました。
2012

3D Systemsが、個人向けの3Dプリンターとして「Cube」を発売しました。
2013 福岡県の株式会社ホットプロシード社が、初の日本製光造形の3Dプリンター「Blade-1」を発売しました。
2013 オバマ米国大統領は、3Dプリントを中心とした研究を行う機関として、「Manufacturing Innovation Institute」を新たに3つ設立すると発表しました。
2013

アメリカのクリス・アンダーソン氏が「MAKERS 21世紀の産業革命が始まる」という本を出版し、ベストセラーとなったのがきっかけとなり、3Dプリンターのブームがはじまりました。「今日の起業家は、オープンソースのデザインと3Dプリンタを使って製造業をデスクトップ上で展開している。」とパラダイムシフトを描いてます。
2013 日本の家電量販店が個人向け3Dプリンターの販売を開始しました。
2014 StratasysのFDMの特許の権利期間が満了しまた。
2014

銃の製造事件が起きました!大学教員の男性が3Dプリンターで銃を製造し逮捕されました。3Dプリンターで作られた銃に銃刀法が適用されたのは、これが初めてになります。「3Dプリンターは、殺傷能力の高いものを安価で簡単に作られるのではないか?」との声が多く挙がりました。 3Dプリンターの普及とともに、法規制についても考えさせられるようになります。
2015

株式会社株式会社デアゴスティーニ・ジャパン・ジャパンというユニークな企業から、「週刊マイ3Dプリンター」という雑誌が創刊されました。デアゴスティーニは、今までもパートワーク(分冊百科)を多く発刊しています。パートワークは、ある分野の本格的な知識やノウハウを、気軽かつリーズナブルに学べるようにするため、付録付きの書籍を週刊や隔週刊といった定期刊行形式で販売していくタイプの出版方式です。
分野としては、フィギュア、ジオラマ等があります。皆さんも、子供のころに何らかのパートワークを購読していたかもしれませんね。
2018 残念ながら、「週刊マイ3Dプリンター」は、販売を終了していました💦
https://deagostini.jp/site/mtp/pretop/

3Dプリンターの歴史の一覧の、年の項目に②から⑤まで番号を振っている部分の出来事と、グーグルトレンドの折れ線グラフに記載した②~⑤が対応しているものと思われます。したがって、②3Dプリンターを使った銃の製造事件が一番多く検索され、ついで⑤「週刊マイ3Dプリンター」の創刊、③「MAKERS 21世紀の産業革命が始まる」出版、②3D Systemsが、個人向けの3Dプリンターとして「Cube」を発売の順になっています。

その他に3Dプリンターの歴史上で興味深い出来事として、特許の取得と満了が挙げられます。3Dプリンターの発展には、特許の取得が大きく影響していて、光造形の特許およびFDMの特許の権利期間が満了したことが、3Dプリンターの発展に大きく寄与したと思われます。

2014年の「3Dプリンターを使った銃の製造事件」で一躍脚光を浴びた3Dプリンターですが、その当時の検索回数を100%とすると、2015年以降は当時の検索回数の25%と検索回数が低迷しているようにも見えます。ですが、実際のところは「ubbersuggest」というツールで確認してみたところ、下記の「検索ボリューム」=「検索回数」を参照いただくと、現在(2020年3月時点)で60,500回も検索されていることが分かります!

uberは、「優れた」といった意味があるようですので、「ubbersuggest」というツールは、「優れた提案」のできるツールという意味合いになります。実際には、グーグルのアドワーズ広告(グーグルの検索時に優先的に検索結果の上部等に表示される広告)等で、どのようなキーワードで広告を出せば反応が良いか、ユーザーのニーズ・興味の強さを推し量るのに使用されるツールです。

【ubbersuggestを使って「3Dプリンター」の検索回数を調べる】

3Dプリンターの検索回数をubersuggestで調査

「3Dプリンター」というキーワードは、2019年4月~2020年3月まで、安定的に検索されていることが分かりますが、実際にグーグルで「3Dプリンター」で検索してみると、検索結果の上部に常時上述のグーグルアドワーズを使った広告が多数表示されます。このようにスポンサーが多いことからも、多くのメーカーが3Dプリンターの開発・販売に取り組み、多くの人が3Dプリンターに興味を持っていたり、購入を検討しているため、検索回数の多さにつながっているのではないかと推測できます。

「Ubbersuggest」を使って、「3Dプリンター」というキーワードが実際にはどのような他のキーワードと組み合わせて検索されているかについて、もう少し細かく調査してみましょう。

【ubbersuggestを使って「3Dプリンター」と組み合わせて検索されている他のキーワードの組合せの検索回数を調べる】

ubersuggestを使った3Dプリンターで検索されたキーワードの組合せ

調査結果は、「3Dプリンター」60,500回、「3Dプリンター 家」3,600回、「3Dプリンター フィギュア」2,400回、「3Dプリンター価格」2,400回、「3Dプリンター 金属」2,400回、「3Dプリンター 価格」2,400回、「3Dプリンター金属」2,400回となっています。グーグルでは、キーワードとキーワードの間のスペースの有無によって別の検索としてカウントしています。

「3Dプリンター 家」、「3Dプリンター フィギュア」等興味深いキーワードが並んでいます。また、「3Dプリンター金属」の検索回数が多いことから、近年3Dプリンターの性能の向上・価格が安価になってきたことにより、従来3Dプリンターに高額な費用をかけないと製造が困難とされていた製造業の分野にも比較的安価な3Dプリンターの導入が検討され始め、製造業関連の方の3Dプリンターへの興味・関心が深まってきていることが推測できます。

ちなみに、当サイトでも注目している「3Dプリンター 家庭用」、「3Dプリンター 個人」の検索回数については、上記の結果には表示されていませんが、下位の方を調べたところ、「3Dプリンター 家庭用」が1,300回、「3Dプリンター 個人」が140回でした。

家庭用に使われる3Dプリンターは、上記の「3Dプリンターの歴史」に記載しましたFDM方式が多く用いられていて、近年は、安価なものは2万円~5万円程度で購入できるようになりました。また、光造形方式は、FDM方式よりは効果で、家庭用としては導入しづらい価格だったのですが、こちらも最近は比較的安価で家庭でも入手可能な3Dプリンターの開発が進んでいます。「3Dプリンター 家庭用」、「3Dプリンター フィギュア」といったキーワードの組合せで多く検索されていることからも、今後「家庭用3Dプリンター」、「個人用3Dプリンター」にも注目していきたいところです。

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